問題提起編
@第三セクターが機能しない問題 ネイブルランドは三池炭鉱閉山後の 新しい産業の目玉として造られた 第三セクター方式のテーマパークでした。 しかし、厳格なリサーチ抜きに発足したため 開園後わずか3年5ヶ月で多額の負債を抱えて 閉園になりました。 |
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ネイブルランドのキャラクター ネイブルランドが失敗した第一の原因は 入場者数の不足です。 東京ディズニーランド以外の テーマパークのほとんどが直面している問題です。 |
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岬町埋め立て地から見た大牟田市街地方面 岬町は閉山後の企業誘致のために 造成されたところです。 サッポロビール誘致は実現できませんでしたが 昭和アルミニウム缶が進出しています。 |
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A中心市街地空洞化の問題 大牟田井筒屋デパートは1月21日閉店しました。 新栄町の核店舗がなくなり大牟田の中心部の 空洞化が進んでいます。 |
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私が小学3年生のころから 旧工場跡地に新栄町の町つくりが始まり 井筒屋やダイエーなどの核店舗と専門店商店街が 次々と建設されていき ものすごい勢いがありました。 |
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現在建設中の商業施設ユメタウンです。 西鉄バスの後ろに東新町商店街が見えます。 とても対照的な光景です。 ちなみに、真中の茶色の煙突は 炭鉱節に出てくる、たかーい煙突の モデルになった煙突だそうです。 さらに、遠くに荒尾市グリーンランドの 観覧車が見えます。 |
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B有明海環境問題 堂面川河口にある漁港岸壁より見た初島方面 有明海の、のり不作問題はとても深刻のようです。 コンテナヤードのような施設は おそらく、のり網を荷役するための リフトだと思われます。 船は繋留されて人影がありませんでした。 |
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大牟田市内のあるところに掲げられた 諫早湾潮受け堤防水門開放のメッセージです。 世論の多数は、諫早湾潮受け堤防の 水門開放を支持しています。 |
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CRDF発電所についての問題 ’大牟田エコタウン事業’の工事が本格的に 始動しました。 @リサイクルプラザ Aごみ固形燃料化(RDF製造)施設 BRDF発電所 C中核的支援施設 の4施設が建設されます。 |
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’大牟田エコタウン事業’の中心は RDF発電所であることは間違いありません。 この櫓はおそらく、RDF燃焼炉のものであると 思われます。 14年9月撮影の状況は 向日葵で紹介しています。 |
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’大牟田エコタウン事業’工事現場の 隣りには雑草の繁る埋立地があります。 将来構想として、ここを環境共生型緑地に することになっています。 排水が悪いために池があちこちに出来ており それが、かえって野鳥の楽園になっています。 サギやヒバリが住んでいます。 |
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菊池郡旭志村に掲げられたRDF化施設 建設反対のメッセージです。 菊池市・七城町・旭志村は大牟田リサイクル発電鰍フ 参加市町村になっています。 おそらく旭志村にRDF化施設が建設される 計画になっているのでしょう。 きれいな彼岸花が咲いていますが ここは、彼岸花街道として整備されています。 また、背景の山は鞍岳です。 由来は見てのとおり、馬の鞍の形をしているからです。 |
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D市町村合併が盛り上がらない問題 福岡県大牟田市と熊本県荒尾市は 三池炭鉱の発展とともに市街地が 形成されてきました。 国道389号線の荒尾市四ッ山から 大牟田市三川町方面を見たところです。 毎年10月に、この道路で県境大綱引きが 行われます。 綱引きは楽しいでしょうけど 合併を真剣に取り組んでみては いかがでしょうか。 |
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荒尾市四ッ山にある「県堺ラーメン」さんです。 壁に県堺と書かれていますが 正確には、これより20メートルくらい左側(北側)の 狭い道路が、福岡県と熊本県との県境になります。 ちなみに大牟田と荒尾のラーメンは 博多ラーメン系統になります。 今はやりの久留米ラーメンに近い 薄味の細麺ラーメンです。 濃い味に太麺の熊本ラーメンが好きな方には 物足りない味かもしれません。 |
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県境を挟んで住宅が並んでいます。 左側(南側)が熊本県荒尾市西原町 右側(北側)が福岡県大牟田市南船津町です。 このように隣り近所にもかかわらず 県が異なると、いろいろな弊害が きっとあるはずです。 |
このように大牟田市が抱えている問題として
@第三セクターが機能しない問題
A中心市街地空洞化の問題
B有明海環境問題
CRDF発電所についての問題
D市町村合併が盛り上がらない問題
の5点が挙げられます。
そこで、この5点についてインターネット上でどのような説明がなされているかを調査し、出来るかぎり客観的に
問題点を洗いだし考察していこうという企画です。
考察編
@第三セクターが機能しない問題
第三セクター方式は、一般的に官の公益性と民の効率性との長所の結合として、官庁方式の拘束から離れて
弾力的・機動的・効率的な経営を行うことが出来る事業形態であると強調されていたのですが
各地の第三セクター方式によるテーマパークなどに見られるように地方自治体の資金繰りを悪化させた上に
破綻しているのが現状であります。確かに第三セクターが存続しているケースもないわけではありませんが
その内容となると、決して良好とはいえない場合がほとんどのようです。
ここまで、第三セクターが機能していないのは、何か構造的な問題があるはずです。そこで、第三セクターをとりまく
様々な問題点を洗い出し、なぜ、機能しなくなっているのかを考察してみましょう。
<様々な問題点>
a)実際の運営においては、官が主体となり、行政の硬直的な影響を強く受けた(意思決定の官僚化)
硬直的な意思決定
硬直的な予算会計制度
硬直的な事務処理など
b)採算・不採算の区分に関する基準が曖昧で不明確であるため、積極的な効率性追求やリスク分担の機能が
発揮されなかった。
民間資金の投入は採算分野のみ
基盤整備など不採算部門は自治体の公共事業
民間がノウハウを発揮する領域は限られている
官への暗黙のリスク転嫁
c)経営責任が不明確
第三セクターの経営に誰が責任を負っているかが明確でない
事業計画の策定・見直しについて迅速な対応が取れない
官の縦割り行政によって予算配分や権限配分が複雑に絡み合い主体的に行うべき責任者が不在
事業だけが公共事業的に推進され、経営の枠組みは事業のための手段でしかなくなっている
d)情報公開とチェック機能が不明確
地方自治体の情報公開条例における規定が不明確
議会などによる事業計画、経営についてのチェックが十分になされていない
地方自治体と第三セクターとの財政関係についてのルールが不明確
株主や取締役の構成が、事業に関与している関係者によって占められるため、意思決定が密室化しやすい
これらの様々な顕在する問題点を総括してみましょう。
<構造的問題の総括>
a)第三セクターは、人・資金・情報・国などが策定する基本計画や行政指導によって、意思決定や事業活動が
拘束されるため、民間企業としての創意工夫や自己責任の体質を失っている。
b)共同出資者の官と民が、リスク分担に不明確なまま事業を進めたことが、官民双方の依存と無責任体質を
生み出している。
c)赤字拡大の事業を展開し続けてきた官と民の体質の問題。
このような構造的問題をもつ第三セクターを成功させる方法の提案もあります。
<第三セクター方式成功の鍵>
a)プロジェクトの抱える様々なリスクを把握し、投機的な要因を排除する(慎重の原則)
b)社会的便益が広く地域にもたらされる事業に限って活用すること(事前の十分な検討)
c)第三セクターの経営はその自助努力によるべきであるが、公的支援が必要な場合には、あらかじめ
支援の考え方を取り決めておくこと(公的支援のあり方)
d)独立した事業主体として、自らの責任で事業が遂行できるように経営者の職務権限などを明確化
e)民間の経営ノウハウを有する人材を積極的に登用
f)議会や地域住民に対して、事業の必要性、公的支援の考え方などを積極的に広報(情報の開示)
g)行政担当関係者・経営に関する有識者・第三セクターの経営責任者などで構成される委員会による
定期的な経営状況の点検評価
h)経営悪化時における速やかな対応。深刻な経営難の状況では、事業の存廃そのものについても判断
参考資料
PHP政策研究レポート
ようこそ!PHP総合研究所へ!
官報「第三セクターに関する指針」
A中心市街地空洞化の問題
中心市街地空洞化の問題は大牟田市に限らず全国的な問題でもあります。とくに、いわゆる地方の人口20万人
以下の都市が顕著になっています。はじめに空洞化の原因について調査してみましょう。
<空洞化の原因>
a)土地区画整理事業・新市街地開発などによる中心市街地人口の減少。
b)モータリゼーションの進展にともないバイパスなど郊外の道路網整備などクルマ最優先の開発政策
c)居住人口の郊外への流出にともないクルマによる利便性を第一義とした公共施設の郊外移転
d)相次ぐショッピングセンター開発、郊外への大型店の進出
e)クルマ社会の対応に遅れをとった中心市街地商店街
このような原因がインターネット上では共通してとりあげられています。つまり、クルマ最優先社会が引き起こした
都市全体の住宅地や商業配置の趨勢、市民のライフスタイルの変容などが密接にからみあう構造的な
問題であるといえます。
<空洞化による中心市街地の問題>
さて、これらの原因により中心市街地が空洞化していきますと様々な問題が発生します。
a)商業、公共施設が分散してしまうと住民にまとまったサービスが提供されなくなる
b)生活に必要な店舗、病院などの施設が身近にないと高齢者など交通弱者に不便な生活環境になる
c)人々の交流の場が少なくなり地域の伝統や文化が継承されなくなる可能性がでてくる
d)郊外エリアでは土地利用が分散するため移動をはじめエネルギー効率が悪くなる
e)新たな開発が新たな開発を呼び環境に影響を及ぼす
中心市街地の空洞化はだれもが実感できる、あるいは共感できる問題であると思われます。とくに中心になる
問題点は高齢者など交通弱者に不便であることとエネルギーの非効率性をはじめとする環境破壊の
2点であると思われます。
<中心市街地を活性化するためには>
ここからが議論の分かれるところであります。たしかに中心市街地の空洞化は問題であるけれど、活性化させる
方法は果たしてあるのか。
中には中心市街地だけを特別視してはいないかとか、市場原理だから必要ないとか様々であります。
そこで、まず国が推し進めている中心市街地活性化法をたたき台にして考察していきます。
<中心市街地整備改善活性化法>
a)法律の特徴
市街地の整備改善に関する事業と、商業などの活性化に関する事業を両輪として、民間活力の活用を図りながら
ハード・ソフトにわたる各種施策を総合的かつ一体的に推進します。
(中心市街地活性化推進室HPより抜粋)
b)基本計画の策定
市町村はまず中心市街地の位置・区域を設定します。
つぎに中心市街地活性化に取り組む基本的な方針や目標、実施する事業の概要(市街地の整備改善事業
商業活性化のための事業)を内容とする基本計画を策定します。
c)関係省庁による支援
吸引力を高めるメニュー
商業の魅力向上、公益機能の導入、イベント開催、来訪者へのサービス向上や観光資源開発など
快適に過ごせる環境を整えるメニュー
歩きやすい環境づくり、憩いの場づくりなど
来やすくするメニュー
中心市街地へのアクセス改善、駐車場の整備、公共交通の利便性向上など
住む人を増やすメニュー
実現に向けた仕組みと環境づくりメニュー
専門家派遣やまちづくりの人材育成など
d)統一窓口の開設
経済産業省を中心に中心市街地活性化推進室を開設
このように中心市街地活性化法の仕組みの特徴は、市町村の主体性に基づく計画であること、市街地整備改善と
商業などの活性化事業を総合的に関係省庁が支援することになります。また、各市町村の行政や民間事業者と
連携して様々な事業を行う中間セクターとしてTMO(タウンマネージメント機関)の組織が位置づけられています。
<中心市街地活性化法の問題意見>
どうしても国が推し進める法律には現実にそぐわない点があり、問題点の指摘がインターネット上で述べられています。
a)中心市街地の活性化を考えるとき、市街地には商店街のほかに、中心駅や公共施設、企業、住宅地が
存在するので商業的なことだけではなく、様々な諸機能を総合して考察する必要がある。
つまり、中心市街地活性化法はどうしても商業的な見地が中心となっている傾向があるのは否めない。
b)空洞化は市場原理だから仕方がないとか、郊外の大型店で十分なので中心商店街は必要ないとか
なぜ中心商店街だけが特別扱いされるのかという意見が住民の多数を占める場合、中心市街地活性化のために
多くの補助金やエネルギーを費やすことは困難である。
c)大店法の廃止により大型店の郊外への進出が加速するおそれがあり、この法律でせっかく巨額の資金を投入し
事業をすすめても中心市街地に客が戻るとは限らず、活性化する保証はない。
d)各市町村で出されている基本計画は、従来独自に進められてきた駅前再開発事業計画などの焼き写しが多く
ゼネコン、大企業奉仕と批判されてきたものが少なくない。住民・自治体負担ばかり増大する大手資本主導
住民不在の開発にならないようにする必要がある。
e)クルマ最優先社会を変えることを、市民はもとより自治体・商業者も賛成しなければ、とうていこれっぽっちも
思うようにはならない。
f)商店街の活性化は本当の問題の核心を曖昧にしている。入れ物の商店ではなく、あくまでも経営者である店主が
主役にならなければならない。つまり、商売の活性化こそ論点となるべきである。
g)小さい店は郊外の大型店とは、販売促進も接客も店の維持方法も商品の管理もすべて違う。それなのに
大型店の真似をしてもとうてい太刀打ちできるはずがない。小さい店は直接お客様と接して、その要求に
一対一で叶えることが使命であり、極端なスピードや効率を必要とするものではない。
<商店街停滞・衰退問題の着眼点>
次に、中心市街地活性化の方策について、商店街が直面している停滞衰退問題を切り口にした着眼点による考察を
してみましょう。
中心市街地の中核を形成している中心商店街の特徴は、買回品を中心とした個店と最寄品を含む商業集積であり
一般的に地域型商店街といいます。
また、生鮮三品に代表される最寄品を中心にした小規模の商店街を近隣型商店街といいます。
これに対して、県庁所在地などの中核都市に形成される買回品主体の大規模な商業集積を広域型商店街といいます。
全国の大多数を占める商店街で起きている停滞衰退問題は、前者の地域型商店街と近隣型商店街で起きている
問題であります。
<商店街停滞・衰退の原因>
商店街停滞衰退の原因について、商店街を構成する外部環境、内部環境そしてインフラ面の3点から分析してみましょう。
a)外部環境の変化
1)モータリゼーションの発展
2)郊外型商業集積の出現
3)ライフスタイルの多様化 など
b)内部環境の変化
1)商店街そのものの魅力の低下
2)個店経営力の低下 など
c)インフラ面
1)駐車場不足
2)店舗の老朽化 など
これらの原因は先に挙げた中心市街地空洞化の原因と重なるものですが、商業活性化の基本的な着眼点である
内部環境(経営資源)と外部環境(市場環境)の視点で分析しているところに重要なポイントがあります。
<商店街活性化の方策>
そこで企業の経営戦略立案のフローと同じ手法で、商店街活性化の方策を策定してみましょう。
a)内部環境の把握
1)業種構成(業態構成)の分析
2)核店舗の経営力を分析
3)個店経営力を分析
b)外部環境の把握
1)商店街のもつ商圏を調査・分析
2)競合する他の商業集積の影響を調査・分析
3)商店街の立地条件(状況)を調査・分析
c)独自性や特徴を生かした商店街コンセプトの立案
商店街の内部環境と外部環境の調査・分析をもとにして、商店街の強みである独自性や特徴を生かした
ビジョンや方針を立案する。このコンセプト策定によって、商店街の組織戦略が構築されることとなります。
d)個店経営力の強化計画を立案
個店のほとんどは、零細経営であるため、経営の安定化を図ることが前提となるが、その上にたって
各個店の強みや特徴を生かしたストアコンセプトを確立するとともに、商店街コンセプトの組織戦略上の
構成要因(コンテンツ)としても、経営力強化を計画する。
これらの計画策定を通して、商店街の強みである独自性や特徴を生かすための戦略目標が明確に認識され
商店街に対する帰属意識が強化されるとともに、これらの活性化計画が周辺地域に、話題性を提供することに
つながります。
e)街区整備(インフラ)計画
駐車場・歩行者分離(歩行者天国)・カラー舗装・街路灯・案内板・ストリートファニチュア(街具)・小公園などの
公共性のある分野については、自治体の行政が改修・改装すべきである。
しかし、各地方公共団体の財政力の格差問題により、その内容は、出来る限りにおいてというのが実情であります。
f)フィージビリティ・スタディの必要性
商店街活性化の基本戦略である、商店街の強み(独自性・特徴)が特に見当たらない場合は、戦略そのものの
立案が困難となります。
つまり、ビジョンや方針に対して、実現性があるのかどうかを検証することが必要になります。
この検証作業をフィージビリティ・スタディといいますが、そのプロセスは、初め実現化においてのネックやリスクを
検証し、次に実現可能性の難易度の評価を行い、最後には成果が達成できない場合での撤退の想定を
行うものです。
このフィージビリティ・スタディを怠ってしまいますと、無意味な開発や事業化が、際限なく継続されるおそれが
生じてきます。
<繁栄する商店街の特徴>
これらの商店街活性化の方策から導かれる繁栄する商店街には、次の特徴をもつと言われています。
a)店舗数が多く、業種が多岐にわたっている。(個店が活性化している)
b)核店舗との共存共栄が図られている。
c)新しい形態の業態店が複数存在している。(ライフスタイル多様化に対応している)
d)構成店舗が商店街活動へ積極的に参加している。
e)街区整備(インフラ)の改修・改装が進んでいる。
f)地域のにぎわいとして定着している。
<中心市街地活性化の方向性についての意見>
最後に中心市街地活性化の方向性についての、私個人の意見を述べてみます。
a)中心市街地活性化の方策として、市民参加型の「まちづくりプラン」を計画する自治体が多いのですが、それは
あくまでも行政側が担うべきインフラ整備(街区整備)の分野に限られるべきであって、商店街活性化の方策を
提言することは、筋違いの方向性であると思います。
当然のことながら、中心商店街の活性化策は、基本原則として、商店街自身による自助努力によるべきです。
なぜならば、すべての企業がそうであるように、経営戦略策定の方策と同じことであるからです。
それにもかかわらず、この論点を履き違いした発想による、過保護ともいうべき提案や計画を多く見受けられます。
b)中心市街地整備改善活性化法は総花主義の法律である。
この法律が成立した背景は、停滞・衰退する商店街の活性化策要望に対応するものであったと思います。
しかし、都市計画法と大規模小売店舗立地法との調整関係から、何でもありの様相を呈しています。
このことは、これらの三法が「まちづくり三法」と呼ばれる所以であります。
c)中心市街地空洞化の主原因は、中心商店街が内部環境の変化と外部環境の変化に対応することができずに
停滞・衰退してしまったことにあります。
とくに、中心商店街の核店舗や核施設が、撤退したり郊外へ移転している地域においては、活性化の実現可能性の
難易度が高くなっており、フィージビリティ・スタディの分析・評価が必要となってきます。
しかしながら、中心市街地整備改善活性化法は、再開発事業主体の施策であり、活性化対策の手法がハード面に
偏っています。
このような再開発ありきの活性化事業の方向性は、中心市街地空洞化の本来の原因を解決することには
必ずしもつながらず、むしろ、計画が失敗した場合は、多額の借金と環境破壊を招くだけとなります。
そうして、この施策の性格は、新しく施行される「有明海及び八代海再生特別措置法」における性格が
有明海の環境に影響を及ぼしている諫早湾干拓事業に一切触れずに、資金注入による漁業振興を目的としている
点において、お互いに似た性格を持っていると思います。
参考資料
中心市街地活性化推進室HP
北海道・長野県の中心市街地活性化関連HP
大阪商工会議所HP
山形大学教授 立松 潔
中小企業診断士 大沼 成彬
日本共産党中心市街地活性化法とは?
U−CAN/中小企業診断士講座
B有明海環境問題
CRDF発電所についての問題
大牟田市の臨海部の埋立地に’大牟田エコタウン事業’の造成工事が本格的に始動しました。
中心となる事業はRDF(ごみ固形化燃料)発電所であることには間違いがありません。
そこで、RDF発電に関わる様々な問題点を洗い出し、RDF発電を考察してみましょう。
<大牟田エコタウンについて>
はじめにRDF発電所を建設する母体となる’大牟田エコタウン’事業とは何なのかを調べてみましょう。
a)背景と経緯
ポスト石炭のまちづくりを模索する中で、環境・リサイクル産業の創出による「環境」を一つの切り口とした
まちづくりの発想に行き着きました。
これを受けて平成9年度には、「大牟田市中核的拠点整備実施計画」を策定し、さらに福岡県など関係機関の
協力を得ながら「大牟田エコタウンプラン」の策定を進め、平成10年7月に全国で5番目のエコタウン地域の承認を
受けました。(財団法人大牟田市地域活性化センターHPより抜粋)
b)大牟田エコタウンプランの特徴
1)RDF(ごみ固形化燃料)発電所により、広範囲において一般廃棄物のダイオキシン類対策等の問題解決に
寄与する広域連携型リサイクルシステムの形成促進
2)農業、水産業から排出される排農業用ビニールや排FRP船、あるいは火力発電所から排出される石炭灰といった
地域の特徴的な廃棄物のリサイクル促進
3)工業系排出物、農業系排出物各々のリサイクルシステムの相互連携を図る農工融合型リサイクルゾーンの
形成促進
4)市民憩いの場、環境学習及び自然観察の場として広大な緑地空間を創出
とくに21世紀の成長産業として、本プランでは、貯炭場跡地にRDF(ごみ固形化燃料)発電所を中心とした
一般廃棄物資源化施設や、生活や地域に密着した廃棄物などをリサイクルする資源化施設を整備することに
しています。(財団法人大牟田市地域活性化センターHPより抜粋)
c)施設内容
1)一般廃棄物資源化施設(リサイクルプラザ)
家庭から排出される粗大・不燃ごみを破砕・選別し、金属等の資源物を回収し、再資源化します。
分別した可燃物はRDF化施設へ供給されます。
また、家庭から排出される空き缶・空き瓶・紙類・ペットボトル等を選別・圧縮加工し保管します。
処理能力:66トン/日
事業主体:大牟田市
2)RDF化施設(ごみ固形燃料化施設)
分別した可燃ごみをRDF化します。
処理能力:225トン/日
事業主体:大牟田・荒尾清掃施設組合
3)RDF発電所
広域的なダイオキシン対策(削減)と可燃ごみのサーマル(熱の)リサイクルを実現します。
また、RDF焼却灰資源化施設をRDF発電所と一体的に整備し、焼却時に発生する焼却灰の資源化を
目指します。
処理能力:315RDF・トン/日
事業主体:大牟田リサイクル発電株式会社(第三セクター)
4)中核的支援施設(仮称環境技術研究センター・市民交流学習センター)
計画地全体の管理運営や市民交流、技術開発を行う施設を整備します。
事業主体:大牟田市
管理運営:財団法人大牟田市地域活性化センター(予定)
5)産業廃棄物資源化施設
企業誘致を基本に段階的に導入します。
リサイクルされる廃棄物の例
生活系廃棄物:ガラスくず・紙くず・厨芥ごみ・発泡スチロール・ペットボトル・塩化ビニール
その他プラスチック・廃家電製品など
工業系廃棄物:石炭灰・木くず・廃油・建設廃材など
農業系廃棄物:廃農業用ビニール
水産業系廃棄物:廃FRP船など
(財団法人大牟田市地域活性化センターHP・広報おおむたより抜粋)
<エコタウン事業について>
’大牟田エコタウン’事業は平成10年に認定されましたが、国が制定したエコタウン事業を調べてみました。
エコタウン事業は、ある産業から出るすべての廃棄物を新たに他の分野の原料として活用し、あらゆる
廃棄物をゼロにすることを目指す構想「ゼロ・エミッション構想」を地域の環境調和型経済社会形成のための
基本構想として位置づけ、併せて、地域振興の基軸として推進することにより、環境調和型の地域経済形成の
観点から既存の枠にとらわれない先進的な環境調和型まちづくりを推進することを目的として、平成9年度に
創設された制度だそうです。
つまり、具体的内容は地域の特性に合うように、自治体におまかせしますということのようです。
そこで、エコタウン事業が承認された自治体はどこかといいますと
長野県飯田市・川崎市・北九州市・岐阜県・福岡県大牟田市・札幌市・千葉県・秋田県北部18市町村
宮城県鶯沢町・北海道・広島県・熊本県水俣市・山口県となっています。
その中でRDF発電所が構想の中に組み込まれているところはと調べてみましたら
広島県東部の「備後エコタウン構想推進委員会」にRDF発電プランがありましたが、他のエコタウン事業では
大牟田と広島以外には、RDF発電構想はないようです。
<大牟田リサイクル発電株式会社>
次に、RDF発電所の事業主体である大牟田リサイクル発電株式会社(第三セクター)について調べてみました。
会社概要は、資本金2億円(内訳:福岡県7000万円、大牟田市1500万円、電源開発7000万円、参加市町村
1500万円、地元金融機関とメーカー等3000万円)となっており、収支見込は、15年間で収入226億円
支出222億円を予定して帳尻を合わせる計画になっているようです。
会社の機能と構成は、RDF供給参加市町村からRDFとその処理費が、国と県からは補助金が入り
九州電力へは発電された電気を売電し収益をあげます。
会社の運営管理を行うのはもちろんですが、参加市町村のRDFの調整も行います。(在庫するということか?)
支援・協力体制としては、大牟田市が事業推進のための説明会などの地元調整。福岡県はRDF供給市町村の
指導・調整。電源開発株式会社はRDF燃焼・発電に係る全体技術管理を行います。
大牟田市以外からは162RDFトン/日、RDFが発電所に運ばれてくるそうです。
(RDF発電所に併設されるRDF化施設では110RDFトン/日、合計272RDFトン/日)
参加市町村:福岡県稲築町・庄内町・頴田町・宮田町・若宮町・小竹町・鞍手町・浮羽町・吉井町・田主丸町
篠栗町・須恵町・粕屋町・志免町・宇美町
熊本県荒尾市・菊池市・七城町・旭志村・一の宮町・阿蘇町・産山村・波野村・高森町・白水村
久木野村・長陽村
西日本新聞の記事によれば、開業初年度の収支は赤字の見込みで、九電への売電を需要時間に合わせるなど
売電単価を調整することで、収益確保の経営努力をやっていくそうです。
財団法人大牟田市地域活性化センターHPへはリンク集の大牟田市役所HPの中のリンクにあります。
<RDF推進派の根拠>
RDF発電は、ダイオキシン問題に比べれば、認知度が低いのは事実ですが、そのRDFを推進する人たちの
根拠は何なのでしょうか?調べてみました。
1)ごみの資源化
ごみを燃やすだけの焼却施設とは異なり発電など他のエネルギー源として再利用できる。
このことをサーマルリサイクルといいます。
2)ダイオキシン抑制
運びやすく大型の燃焼プラントで一括処理できることから、ダイオキシン類の抑制が困難な小型焼却炉を
廃止できる有効な代替手段である。また、RDFの製造工程で石灰が含まれるため、それ自体が
ダイオキシン類の原因物質である塩素ガス、塩化水素などを塩化カルシウムとして固形化できる。
3)広域ごみ収集による連続高温焼却
ごみをそのまま燃やすごみ発電より、燃料(RDF)がいつも確保されているから安定的に発電できる。
つまり、RDFは、ごみ問題も、エネルギー問題も、ダイオキシン問題も一気に解決するというものです。
<RDFは救世主とはなりえない>
しかし、そのように問題が一気に解決できるのでしょうか。
RDFについての問題点を調べてみました。
a)大量生産・大量消費・大量廃棄社会の問題を先送りするだけである
RDFは、ごみの排出抑制には、つながらず、逆にごみを出すことを奨励しているのと同じことになる。
b)ダイオキシン問題を隠蔽化している
RDFも、ごみであることには変わりなくダイオキシンは発生する。
ダイオキシン類を含む環境ホルモンについては、少量でも人体に何らかの影響があるため、許容量という
考え方が通用しないことが、世界中の定説になりつつあるのだが・・・
RDFも焼却処理方法の一つでしかなく、必ず重量比で15%から20%くらいが灰となって残る。
しかも、その灰は炉に入れられる前の有害物質を含むごみが濃縮されて、非常に危険な灰に変わる。
(大牟田のRDF発電所では焼却灰の資源化を目指すとしている。)
d)ごみの地方移転(第二の原発化)
運びやすい利点と実際はごみであるRDFが燃料として扱われるためRDF発電所に各地からごみが
結果として集められることになる。
しかも、RDFでさえも、やはりダイオキシンが発生することには間違いがなく発電所付近の住民の健康を
侵す危険性が絶対にないとはいいきれない。(むしろ原発より怖いと思う。)
e)国内プラントメーカーのための市場創出
いかにも環境にやさしさをイメージしても、具体的内容はごみの焼却方法の新しい方法でしかなく
全国の自治体にRDF発電所が次々に建設されていくとなると、得をするのはプラントメーカーと官僚で
あることは、想像が易い。
(えこ爺の環境宣言・K.Niheiを参考)
<大牟田市のRDF発電所に関係する問題>
すでに大牟田市のRDF発電所に関係する問題が起きています。
a)筑後川中島ゴミ処理場建設問題
福岡県浮羽郡吉井町・浮羽町・田主丸町の浮羽郡衛生施設組合が筑後川の中島畑に建設予定の
RDF化ごみ処理施設から、大牟田市のRDF発電所にRDFが送られる計画が、決定している。
しかし、筑後川を挟んで対岸にある朝倉郡朝倉町・杷木町の住民・行政が一体となってRDF化施設
建設の反対運動を行い、署名運動・反対決起集会・福岡県への反対陳情・デモ行進を行っている。
この問題はRDF施設が洪水で大きな被害を受けた場合、ダイオキシンなどの有害物質やゴミ、燃料、薬品
などが流出する危険があり、事故が発生した場合取り返しがつかないことである。
(市民オンブズパーソンくるめを参考)
b)大牟田RDF反対集会
大牟田市が進めているRDF発電所建設計画をめぐり、地域住民に十分な計画の説明がないとして
建設予定地近くの北磯町の住民が、RDF発電所建設に反対する集会を北磯公民館で開いた。
集会には、住民約五十人が参加。ダイオキシン汚染やRDF搬入時の交通対策など住民の安全が
確約されない限り計画には反対するなどとした決議文を採択した。同公民館館長は「住民の頭ごなしに
計画を進めようとする市側の姿勢は許せない」としている。
(西日本新聞記事抜粋)
c)阿蘇町RDF化施設建設の住民反対運動
大牟田RDF発電所事業の参加市町村のひとつである阿蘇町の住民がRDF施設建設に反対運動を
展開しています。阿蘇町は阿蘇広域行政事業組合(一の宮町・阿蘇町・産山村・波野村・高森町・白水村
・久木野村・長陽村)から排出された廃棄物をRDF化する施設の建設予定地になっています。
<大牟田市議会での代表質問と市長の答弁/平成13年6月>
平成13年度六月定例市議会における大牟田RDF発電所関連の各派代表質問と栗原大牟田市長の答弁を
大牟田市議会報より抜粋しました。
a)自民党議員団質問
問=各組合が支払うRDF処理委託料は、現段階ではRDF1トン当たり5千円で収支計画が策定されているが
今後の見通しを含めた基本的な考え方はどうか。
答=同委託料は、15年の事業期間で採算がとれるよう設定され、当市でも、それで採算がとれると考えて
いるが、事業計画上、想定できないような大きな社会・経済変動などの事態が生じるなどした場合には
再試算などの必要が出てくることも考えられる。
問=発電所から生じるRDF燃焼灰の処理は、どのような計画で行われるのか。
答=基本的には全量をリサイクルすることになっているが、現在、複数の資源化技術の安全性、コスト
リサイクル製品の安全性および販路など、総合的に検討されている。また、発電所稼動時までには
関係当事者で燃焼灰処理契約を締結し、適正に処理を行うこととしている。
b)護憲市民連合市議団質問
問=RDF発電所の煙突から出る排ガス中に含まれるダイオキシン類の大気拡散シミュレーションは
地形や建物を考慮しておらず、非現実的であるという指摘に対し、何ら見解を聞いていない。
真偽のほどはどうか。
答=RDF発電所は当該アセスメントで想定しているような影響は受けない設計としている。
問=RDF化の過程でダイオキシン類が発生しないか。また、発電所内での飛灰中のダイオキシン類
対策はどうか。
答=RDF化施設では、燃焼脱臭炉やバグフィルターなどのシステム採用により、ダイオキシン類の排出基準を
大きく下回る。また、飛灰中のダイオキシン類は加熱脱塩素化装置により基準以下に分解され
そして無害化された灰は路盤材などとして有効利用することとしている。
問=ごみ減量化の取り組みにともない、28市町村からのRDFの供給は将来にわたって安定的に
確保できるのか。
答=参加市町村における、ごみの減量化やリサイクルの推進を見込み、発電所の規模を決定しているので
安定的に確保できると確信している。
問=各施設の建設費用は莫大な金額となっているが、財政計画はどうか。
答=RDF発電所は大牟田リサイクル発電株式会社が整備を行うので、市の経費負担はない。
RDF化施設の本市文とリサイクルプラザは、国庫補助金が50%、交付税措置のある起債が45%
市負担は事業費全体の5%である。中核的支援施設は、交付税措置のある起債や国・県の
交付金を受けるなどして、市の負担軽減に努めている。四施設の大まかな想定総事業費275億円
のうち、純粋な市の一般財源負担は合計で約5億5千万円と見込んでいる。
<大牟田市の目指すまちづくりは3R>
財団法人大牟田市地域活性化センターHPによりますと。「大牟田市の目指すまちづくりは3R」としています。
3Rとは、Reduce・Reuse・Recycleのことです。
リサイクルには、素材を再利用するマテリアル・リサイクルと、RDF発電所のように燃焼によるサーマル・リサイクルの
2つの方法があります。しかし、3Rの基本理念は明らかに、資源を有効利用し、ごみや廃棄物の処理や処分を
減らすことにあります。したがって、3Rの基本理念とサーマル・リサイクルのリサイクル方法とは、根本的な矛盾を
持っているといえます。
<大牟田市環境リサイクル産業振興委員会>
有明新報記事によりますと平成14年10/8に第一回大牟田市環境リサイクル産業振興委員会会議が行われました。
同委員会は、有明環境リサイクル産業推進機構(会長栗原市長)が任命する委員から構成され、今後の
大牟田エコタウン事業の展開のあり方の中長期的戦略プランを策定する会議であり、当日第一回会議では
環境リサイクル産業の企業立地が不可欠であるとの意見が採択されたそうです。
この記事から解ることは、大牟田市環境リサイクル産業振興委員会の戦略策定は、「大牟田市が目指すまちづくりは3R」
の具体的計画であることですが、そもそも大牟田エコタウン事業の中核となっている大牟田RDF発電所の方法である
サーマル・リサイクルと3R(Reduce・Reuse・Recycle)との関係に包含している自己矛盾の打開策といえます。
なお、平成14年9月に現地撮影に訪れた際には、リサイクル関連企業誘致の用地は空き地となっていました。
<大牟田市議会での代表質問と市長の答弁/平成14年9月>
平成14年度9月定例市議会での大牟田RDF発電所に関する各派代表質問と栗原市長の答弁を
大牟田市議会報より抜粋しました。
a)有明クラブ
問=共栄環境開発鰍ヘ、エコハード補助金(資源循環型地域振興施設整備費補助金のことでリサイクル技術の
実用化推進とリサイクル産業振興の観点から、経済産業省がモデル事業としてリサイクル産業を先導する
リサイクル関連施設等の整備についての補助金)の本申請を見送ったが、その最大原因は何なのか。
また、今後の資源化用地への企業誘致に係る補助金申請に影響はないのか。
答=同社は、早急な申請に向け大学の先生方の指導を受け、優れたプラント技術を持つメーカーをトップに
事業展開に向けてプロジェクトチームを組織するなど、真摯に取り組まれてきたが、その検証過程において
RDF焼却灰の性状の特異性によって、新たに前処理設備など当初計画より多大な設備を要することがわかり
最終的には、採算面で非常に厳しい結果となり、申請を断念するに至ったと理解している。
エコハード補助金の交付決定までには、場合によっては、施設建設に向けた地元同意が困難となるなど
性格上、事業の中途での断念は、やむを得ないものと考えており、国との関係や今後の補助金獲得に
影響はないものと確信する。
問=RDF焼却灰の処理は、誰が責任を持って解決しなければならないか。
答=RDF発電所は、各施設組合との間で、RDFの供給契約および処理委託に関する契約などを結び
RDF焼却灰を廃棄物処理法にのっとり、適正に処理するものとしており、大牟田リサイクル発電株式会社、福岡県
大牟田市および電源開発鰍ェ、適正なリサイクルまたは処理方法の確立に努めていくことにしている。
現在、大牟田リサイクル発電株式会社に出資する関係者が、連携・協力して焼却灰処理の解決に取り組んでいる。
問=RDF焼却灰のリサイクルは、経済的にも技術的にも大変難しい課題だが、本当にできるのか。
答=RDF焼却灰の処理については、住友金属鉱山鰍ノよる飛灰の焼成技術を用いた金属回収や、三井金属鰍ノおいても
金属鉱業事業団の委託による飛灰からの金属回収技術の実証研究が実施されてきた。福岡県では、リサイクル総合
研究センターにおいて、11年、12年度にRDF焼却灰から路盤材などの建設資材をつくる基礎実験を行っている。
13年度には、福岡県の研究機関、電源開発鰍ィよび企業で構成する研究委員会を発足させ、本年6月まで研究を
継続し、一定の成果が上がっているが、大牟田市のRDF発電所から出た焼却灰のデータを確認する必要があるため
本年度の焼却灰処理に間に合っていない。
現在、これらの企業の研究開発の推移を見ながら、限られた焼却灰処理費の中でリサイクルの可能性を見出す努力を
懸命に行っている。
問=期間がない中で、RDF焼却灰の処理に、どう対応していくのか。
答=リサイクル発電の試運転などに影響を及ぼさないよう、10月から排出される焼却灰の処理について、最後の詰めと
調整が行われており、問題の解決に向け、最大限の努力をしていく。
b)公明党議員団
問=共栄環境開発鰍フエコハード補助金申請断念に関し、経過を聞きたい。
答=当該企業では、RDF焼却灰からゼオライトを製造するという事業に取り組まれてきたが、結局採算面において、計画に
見通しが立たないとの判断から、残念ながら事業を正式に断念する旨の書面が提出された。
問=RDF焼却灰処理に関しては、コスト、品質、安全性の面で適合し、ノウハウを持つ企業を確保するため、関係する
福岡県や電源開発鰍ネどと連携し、広く公募すべきでないか。
答=環境関企業から数件の提案をいただいている。提案公募については、一つの有効な手段と思うので
その事業内容などを見極めながら検討していきたい。
問=今回のRDF焼却灰処理に関するコスト差は、RDF発電所の運営に影響はないのか。
答=RDF焼却灰処理に関しては、十分精査、検討を行い、最終的に事業計画による事業収入を考慮しており
RDF処理委託料や焼却灰処理費の価格差から、直ちにRDF発電所の安定運営に支障が生じることはないと
思っているが、今後とも関係機関と協議・調整して、健全経営に寄与していきたい。
RDF焼却灰は、先にも触れていますが、高濃度の有毒物質を含んでいます。その灰処理に問題が生じているようです。
また、サーマルリサイクルと3Rの精神との矛盾解決のために、灰処理問題に対して、大牟田市と栗原市長が
躍起になっているように感じられます。
<RDF焼却灰の最終処分場への埋め立て検討>
有明新報(平成15年6月7日)によりますと、大牟田市栗原市長は、RDF焼却灰について、市の最終処分場である
大浦埋立地に埋め立て処理することを検討しなければならないとして、市が目指しているリサイクルでの実用化が
厳しい状況であることを記者会見の中で明らかにしました。
RDF焼却灰は7月末まで、大牟田市の三池精錬で処理する契約があるが、8月からの処理方法が未定。
RDF焼却灰リサイクルの実用性が現在のところ乏しく、実用化へは、しばらく時間がかかることが第一の理由。
現在の三池精錬での処理についても、再契約となれば、三倍以上の焼却灰処理料でなければ契約する意思が
ないとのことで、高コストがRDF発電所事業に影響することが第二の理由。
しかし、市議会の答弁では、最終処分場への処理は考えていないと繰り返しており、発言を撤回することになります。
また、高濃度の毒性を持つ焼却灰を、そのまま捨てるとしたら、市民に不安感を抱かせるのは必至であります。
<「苦肉の策」土えん堤使用>
有明新報およびNHK福岡放送によりますと、大牟田市はRDF焼却灰の処理方法として、大牟田市の最終処分場の
第三大浦埋立地に土えん堤として、キレート処理を施したあと使用することを明らかにしました。
このことから分ることは、大牟田市と栗原市長は、RDF発電所事業を開始するにあたって、他地域のエコタウンプランの
基本理念であるゼロ・エミッション構想を実現しなければ、リサイクルを目指す新しい大牟田市のビジョンに反し
しかも、「大牟田市の目指すまちづくりは3R」の基本的理念の崩壊につながるため、とにかく説明理由を無理やりにも
つくりあげてしまったと理解されても反論の余地はないといえます。
これほど大牟田市の市政に理解を示す有明新報でさえ、RDF焼却灰の土えん堤使用は、あくまで緊急措置であり
早急にRDF焼却灰の実用化を実現しなければならないと論評しているのも、大牟田市と栗原市長の
RDF焼却灰処理についての混迷を象徴していると思えます。
<RDF発電所についての矛盾点>
まだ、調査が不十分かもしれませんが、おおよそ大牟田市のRDF発電所についての概略が見えてきたと
思います。私自身も大牟田市民でありますし、このRDF発電所建設については、他人事ではない、当事者の問題で
あります。そこで、ここでは大牟田市のRDF発電所について、私の個人意見を述べてみます。
a)RDF発電は、サーマルリサイクルであり、3R(Reduce・Reuse・Recycle)の基本理念とは矛盾している。
3Rのもっとも重要なところは、Reduceである。ところが、RDF発電は、発電のためにゴミを出すことを
あたかも奨励しているかのごとき構造となっている。これでは、ゴミを減らすことへの積極的説明にはつながらない。
b)RDF発電においても、ゴミを燃焼することには変わりなく、ダイオキシン類が必ず発生する。
とくにRDF化工程においては、ダイオキシンがもっとも発生しやすいといわれる温度帯でゴミを乾燥する工程であるが
ダイオキシン類対策についての詳細な説明がなされていない。
ダイオキシンの被害は長期間にわたり、少しずつ序々に健康を侵されていく恐ろしい問題である。
また、RDF発電を推進する大牟田市と大牟田エコタウン事業のHPでは、環境へのやさしさを演出しているところが
RDF発電の環境への影響を曖昧にしていると思える。
c)RDF発電所をとりまく事業は大牟田市・福岡県・国が運営しており、税金を支払って、わざわざ健康を
侵されるのは、極めて不条理である。
大牟田エコタウン事業では、RDF発電所による広域連携型リサイクルシステムの形成促進を
先駆的であると説明しているが、市民にとってみれば、実験台にされているにすぎない。
d)ダイオキシン抑制については、プラスチック製品の使用を抑える仕組みづくりを国策として行うべきである。
また、大量生産・大量廃棄の一方通行の社会問題を焼却の手段で解決するのは本質的な解決方法ではない。
リサイクルを推進するならば、国は企業に委ね、抜け駆けがないよう監視すべきである。係る費用は価格に
転嫁すればいい。そうなれば、ごみを出すことが徐々に減少し、本質的解決へ近づいていくと思う。
D市町村合併が盛り上がらない問題
市町村合併が全国各地で盛んに検討されています。しかし、具体的に進展しているところは多くはないようです。
大牟田市でも、全国に遅れまいと合併が検討されていますが、いまだ議論が進展していない状況です。
それでは、なぜ市町村合併が叫ばれているにもかかわらず、議論が進展しないのか、大牟田市の合併をめぐる状況を
検証しながら、合併についての様々な問題点を考察してみましょう。
<市町村合併が叫ばれる理由>
はじめに市町村合併が最近、叫ばれるようになってきた状況を調べてみましょう。
a)国と地方と合わせて、666兆円といわれる累積債務が、今後の大きな財政問題として議論されるようになったこと。
これは、小泉首相の構造改革の主たる課題でもあります。つまり、市町村合併を機会にして、地方財政を立て直そう
とするものです。
b)総務省(当時の自治省)が、合併特例法を改正したこと。さらに各都道府県に合併の区割りを含めた要綱を作成する
ように通達していること。
c)交通・情報通信手段の発達や経済活動が進展したために、住民の生活圏は、現在の市町村の区域をすでに越えて
拡大している。したがって、生活行政と生活圏とが一致しておらず、地方行政が非効率化している。
つまり、合併は市町村同士の合意により成立するものには、変わりありませんが、国が今後の財政問題を考えた場合に
地方自治体が強化されなければ、財政危機を乗り越えられないという見地から、国が地方自治体に合併を推進している
と考えるのが一般的であると思われます。
<市町村合併の目的>
それでは、市町村合併の目的とは何なのでしょうか。
a)財政力の強化
お金は、広く集めて大きく使うのが効率的とする、いわゆるスケールメリットを追求。
合併することにより、財政規模が大きくなり、効率化を進めることが出来る。さらに、行政組織の統廃合により、
経費の節減も期待できる。
そうして、財政力の強化につながるとするものです。
b)行政能力の強化
合併すると、総務や企画など旧市町村のルーティンワークといわれる管理部門は統合される。
そうして、余裕のできた職員で福祉事業や教育文化事業など住民サービスを直接提供する新たな部門を充実
させることが出来るようになる。
このようにして、幅広い人材が活用できるようになることが、行政能力の強化であるというのです。
c)住民の生活圏に対応した、まちづくり
広域的な観点からのまちづくりの展開、重点的な投資による基盤整備の推進、地域のイメージアップ
環境問題、観光振興など、住民の生活圏に対応した施策の展開などが可能になる。
<合併特例法とは>
さらに、国が市町村合併を推進するために改正した合併特例法を簡単に見てみましょう。
合併特例法とは、市町村合併を促進するための優遇措置を定めた、2005年3月までの時限立法です。
a)有権者の50分の1の署名によって市町村長に合併協議会の設置請求がでる。
b)合併後も一定期間は、議員数を維持することが認められる。
c)合併後の計算では、地方交付税が減額されるが、10年間は合併前と同じ地方交付税をもらえる。
d)街づくりにかかる費用の95%に対して、合併特例債を発行することが出来る。
しかも、元利償還金の70%を地方交付税で負担してもらえる。
このように一般論で市町村合併の議論の筋道が誘導されているにもかかわらず、なかなか合併が成立しない
のは、市町村合併の阻害要因があるからだと思われます。
<市町村合併の阻害要因>
そこで、合併の阻害要因には何があるのかを調べてみましょう。
a)積極的な合併推進理由が見当たらない
合併を検討していく上で、そもそも合併を推進する理由が見当たらないので、一般論としての合併の必要性を
感じても、自地域での必要性を実感できない。
これは、合併の最大の阻害要因ではないかと思われます。
b)財政基盤の強化、行政能力の強化の必要性に対する認識不足
今まで何とかして乗り切ってきたので、今後も今の市町村で大丈夫だと思っている住民が意外に多い。
つまり、役所の行政機関や議会において、具体的に危機感について議論される機会が少なく、住民の間に
おいては、差し迫った危機感が、あまり実感されていない。
c)身分喪失に対する不安
議会がその気にならないから、合併の話が進まないとか、自分の首を絞める話題を率先して持ち出す
役所の職員は少ないのではないかと、住民が思っている。
このことは、人口の少ない町や村の役場では、地元住民の雇用の大きな受け皿になっている場合が多く
住民を巻き込んだ阻害要因ともいえる。
d)地域間格差が拡大する懸念
昭和の大合併の経験から、周辺部地域の衰退、人口の減少、学校の統廃合などが懸念されること。
e)複雑な既存の広域組合の存在
合併を進めようと考えられている市町村同士とは、必ずしも一致しない、広域組合の存在。
f)中心市の求心力の弱さ(中心地域の不明確さ)
中心市自体の財政状況の悪化は、周辺郡部に対する経済的な優位性が失われており、周辺郡部は
中心市に魅力を感じなくなってきている。また、中心市と呼べるほどの「にぎわい空間」が存在しない
地域もある。
g)大都市への依存
政令指定都市クラスの中枢都市周辺部では、中枢都市の利便性を当然のものと考える住民が多く
むしろ編入を希望する住民はいたとしても、周辺部同士での合併の議論には
住民にとって説得力に欠けるものとなっている。
h)県境の存在
県際地域の中には、自然や歴史の共有によって、住民どうしのつながりや、経済交流、文化交流が
進んでいる地域があり、生活圏が一体化している。しかし、現状の法律では、県議会での承認が
必要になるため、県境を越えた合併がほとんど成立不可能になっている。こういう地域において
県境の存在が市町村合併の議論の幅を狭くしている。
<地方分権を考えた場合の問題点>
国が進める市町村合併の目的が、地方財政と行政能力の強化であることは、別の言い方をすれば
地方に自立してもらい、国の負担を軽減することにあります。つまり、地方分権を推進することに
なるのですが、地方分権を考えた場合に問題点はないのでしょうか。
a)地方分権に逆行する地方交付税
大半の地方自治体は、地方交付税の特別会計が40兆円を超える赤字になっているにもかかわらず
もらうのが当然だと思っている。つまり、リスクを持って自由を選ぶ地方分権の道よりも、自立することを
捨てて、国にリスクを保証してもらう依存の道を選ぶ自治体が大半である。
b)住民を無視した、ばらまき行政の横行
旧態依然とした財源の国依存にもかかわらず、役所の論理を優先した、住民無視のばらまき行政が
あいかわらず、横行している。
これでは、地方分権の主役であるはずの住民中心の発想が育たない。
c)質の高い公共サービスを受けるための、住民の意識改革
ばらまき行政が横行する理由には、住民側の過度の要求があるのも否めない。
住民も負担との引き換えに公共サービスを受けることを考えなければならない。
その考えにたった上で、情報公開や役所の住民に対する説明、そうして住民の選択・決定の
仕組みをつくることが必要になってくる。
<大牟田市の合併の可能性>
さて、以上の市町村合併に関する論点を踏まえた上で、大牟田市の他の自治体との合併の可能性について
考えてみましょう。
a)地域の現状
福岡県大牟田市は熊本県荒尾市とともに三池炭鉱の発展とともに形成された地域であります。
地形的にも両市の間は平坦であり、大牟田市の南部には2ヶ所、荒尾市の飛地もあります。
また、福岡県三池郡高田町とは、最後の三池炭鉱の坑口となった有明鉱や、大蛇山祭りに代表される
大蛇の祇園山笠による夏祭りがともに行われるなど、地域の関連性があります。
また、熊本県南関町とは、大牟田市に流れる関川(諏訪川)の上流部にあたり、地理的関係から
大牟田市との経済に関係が深い。
b)日常の生活面
大牟田市と荒尾市は市街地が連続しており、日常の買い物および通勤が県境を越えて深く交流している。
通勤においては、高田町から大牟田市へは20%近く依存しており、依存率が比較的高いといえる。
通学においては、公立高校は県を境に分断されているものの、私立高校では、大牟田市と荒尾市にある
それぞれの高校に県境に関係なく通学している。しかし、大学まで含めると、大牟田市に短大が一つあるだけ
なので、むしろ福岡市や久留米市、熊本市への通学が多くなる。
また、娯楽や買い物については、全国の他の地域と同じく、県庁所在地の福岡市や熊本市に行く機会が
増えている。
c)行政面
大牟田市は昭和の大合併期にも合併を経験することなく、むしろ独立した市として、大きく構えてきた
きらいがある。そのため、ごみ処理、し尿処理、火葬場、消防・救急といった行政面では大牟田市単独で
行ってきた。つい最近、RDF発電構想のもとに、荒尾市とごみ処理を連携するようになった。
d)合併に対する住民意識
福岡県総務部地方課調整係の福岡県広域行政研究会によると、大牟田市での合併に対する住民意識は
これまで筑後地域南部の拠点として発展してきた歴史的背景から、他の自治体に頼らず自前で凌いでいく
との雰囲気が強く、合併への機運は少ないと分析している。
しかし、合併をする相手を考えるならば、大牟田市では荒尾市との、また荒尾市では、大牟田市との合併を
考える住民が極めて多いのも事実であります。
e)県境の存在
やはり、避けて通れない議論に県境の存在があります。とくに三池炭鉱閉山後、地域の地盤低下の同じ
問題を抱えていることは、市の行政レベルと民間の経済レベルにおいて共通するところですが
県の縦割り行政の弊害が聞かれる場合もあり、「荒尾・大牟田」と呼ばれる両市の地域での効率的な
行政が阻害されていることは、具体点を挙げれば、たくさん出てくると思われます。
また、両市とも福岡県の南端、熊本県の北端と県の中心から離れていることが、ある種の辺境意識が
働き、役所レベルでの交流が盛んであるとの話も聞きます。
f)県議会での承認が必要
現在の市町村合併は、あくまでも同一県内での合併を対象にしているものですから
県を越えた合併になると、両県の県議会での承認がなければ、成立しないそうです。
このことは、合併後どちらの県に帰属するのかを必ず考えなければならないので、事実上、県を越えた
市町村合併を困難にしている、大きな原因になります。
<市町村合併が盛り上がらない理由>
結局、市町村合併の議論が盛り上がらないから、市町村合併が実際に進まないのですが、どうして
議論が盛り上がらないのか、本題の結論を考察してみましょう。
a)役所の市町村合併に対する意識不足
いくら、国と地方の財政が危機的状況だから、合併をして危機を乗り越えるように準備しなさいと言われても
やはり、地方交付税や補助金が、実際に減額されなければ、重い腰を上げない頑固な姿勢。
合併特例法では、合併後10年間は合併前の地方交付税を保証するとあっても、合併しなかった場合の
地方交付税や補助金の減額について、全く明確にされていない。つまり、今後も交付税は減額されないと
高を括っている。
b)住民の行政に対しての無関心さ
旧態依然とした、ばらまき行政が横行している中、役所は一部の声の大きい住民や団体とだけ
意見をすり合わせて、全てを決めているから、何を言おうが思おうが、どうせ役所の組織論理でしか
決められていないという、役所に対する不信感、閉塞感が、役所の行政に対して無関心さを
生み出している。
このことは、諫早湾潮受け堤防問題や川辺川ダム問題などとオーバーラップして脳裏に焼き付けられている
深刻な社会問題といえる。
参考資料
福岡県広域行政研究会HP
小西砂千夫のホームページ
その他市町村合併関連のHP・記事など
ご意見ご感想はこちらまで postmaster@darmax.co.jp お願いいたします。